国立文化財機構について
理事長メッセージ
独立行政法人国立文化財機構は、5つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、 奈良国立博物館、九州国立博物館、皇居三の丸尚蔵館)と、東京文化財研究所、奈良文化財研究所、アジア太平洋無形文化遺産研究センターの8施設を運営する法人です。各施設はそれぞれの特色を活かした事業を展開しています。加えて、本部に設置された文化財活用センター及び文化財防災センターでは、各施設と横断的に連携・協力しながら、文化財を活用し、子供から大人まですべての人々へ文化財に親しむ機会を提供する事業や、文化財を頻発する災害から守る事業を実施しています。また、令和6年(2024)1月に発生した能登半島地震への対応として、文化庁と協力し、被災した文化財等の救援を行う文化財レスキュー事業・被災建造物の復旧支援を行う文化財ドクター派遣事業を実施しています。当機構が培ってきた経験や知識を活用し、全国規模でネットワークを構築してきた関係団体の協力も得ながら被災文化財の応急措置及び復旧に向けた取り組みを進めてまいります。
当機構では今期の課題として、脆弱な文化財を適切に保存しつつ、最新の技術を活用した多様な手法により、我が国の歴史、伝統、文化に触れ、学び楽しむことができる環境を提供していくことや、文化財の積極的な活用を図り、国内外の方々にその魅力をわかりやすく紹介することで、我が国の文化観光に資することに取り組んでおります。また、令和5年10月には、三の丸尚蔵館の管理・運営が宮内庁から当機構に移管され、5番目の国立博物館「皇居三の丸尚蔵館」として設立いたしました。当機構が持つ博物館運営に関するノウハウや、文化財の保存・活用に関する知見を活かし、皇室から受け継いだ貴重な文化財を末永く大切に保管し、調査研究を進めるとともに、より多くの方々に親しんでいただけるよう、運営の充実に取り組んでおります。
現在、大変厳しい財政状況にあり、自己収入の増加、施設・設備の老朽化対策や人材の確保・育成など、多くの課題を抱えた中での活動ですが、文化財を守り伝え、多くの人々に鑑賞の機会を提供し、知っていただくということが現代の日本文化を生きることと深く関わり、重要な意味を持つことをご理解いただけるよう発信していくことが私共の責務であると考えます。
皆様のお力添えをいただきながら、一歩一歩着実に前進できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
何とぞよろしく御支援を賜りますようお願い申し上げます。
独立行政法人国立文化財機構理事長
島谷 弘幸